←～生命地域～妙高高原♪
思い出せない星の詩 [詩と文学♪]
星が輝きを増す
青い夕暮れは
なにかを思い出せないような
気持ちになる
悲しいような
嬉しいような
大切なひとの笑顔みたい
あなたは
輝く一番星に
そっと想いを告げた
かなえたい夢の
窓辺のプラットホーム１番線
汽車は音もなく
すべりはじめる
夢の汽車は
どこまでもいく
家々の屋根
静かな山の峰
雲河をこえて
限りない天上の果てへ
光の渦
ちっぽけな星
ちいさな願い
寝ぼけ眼に映る幻の都
地球の穢れ
宇宙の幸せ
まもなくはじまるよ
本当の人生
汽笛の音が胸にせまる
目の前にあるのは
地球という名の辺境の星
青く輝く星
戻りたいような
大事にしたいような
抱きしめたいような
暖かな心の星
気がつけば窓辺
空を見上げると
まるで最初からあったように
欠けた月が浮かんでいる
欠けたところが
大事なひとのえくぼにみえて微笑む
頬にひとすじの涙
このままもし
明日の朝までこうしていたら
輝きが消えてしまうから
眠らないでいられない
深い夢の底に落ちて
もし
目覚めない心があっても
そのままそっとしておいていい
本当の朝がきたら
きっと
気づくはずだから
おやすみなさい
夜が
あなたを守っているうちに
室生犀星さんの詩 [詩と文学♪]
小景異情 その二
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆうぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
大正時代に金沢に生まれた作家、室生犀星氏の有名な抒情詩です。
「たとえ、異土で、乞食になろうとも、故郷は帰るべき所でない」
という、決別のことばで、逆に郷土への愛を歌っている詩です。
犀星氏は、この詩を書いたときに、故郷の金沢にいらっしゃいました。
一度東京に出たものの、都落ちし、再び上京しようとする際に、
「一人で都会の片隅に生きて、ふるさとを思って涙しながらも、孤独に耐えるわが身」
の姿を、詩に歌ったのです。
犀星氏は、東京で、酒ばかりあおって暗黒の時代を送っていたこともあるそうですので、
よほど、身につまされることがあったのでしょうね。
すごく胸にぐっとくる詩です。
文学に恋をする [詩と文学♪]
ある作家を知ろうと思えば
1篇の作品だけでは、うかがい知れない。
すべての作品とつくられた背景をも、知ることだ。
人に恋をすることと、同じなんだ。
熱烈に好きになることは、すべてを知りたいと思うこと。
一回会っただけでは足りないから、
繰り返し会って、
その人の思いや生い立ちを知ることだ。
一人の作家を知りたければ、全集を読んだほうがいい。
有名じゃない作品の中に、
その作家が、熱く語りたかったことが書いてある。
人に恋をした時も、
表向きのいい顔よりも、裏の顔が大切。
すべてを知ろうとしなければ、恋は瞬間に終わる。
心が熱く燃えるのを、抑えようと努力はしないことだ。
恋をすると、心が燃えて、熱くなる。
燃える心が、感動を生む。
好きな作家ができたときも、おんなじだ。
熱い思いで、本を手にとりたい。
誰かに恋をすることと、おんなじだ
ごんぎつねの詩 [詩と文学♪]
兵十どん
うなぎのこと おっ母のこと
ほんとうに ごめん
おっ母が死にそうだったなんて
知っていたら
おら おっ母にあげる うなぎ
逃がしたりしなかったよ
兵十どん
おっ母が いなくて 寂しいか
おらも いつも ひとりきり
あれから
いわしを 五つ六つ 家の中へ 投げ入れたのは
おらだよ
いいことを したかった
それなのに 兵十どん
盗っ人よばわり されてしまったね
くり まつたけ
今度は 裏口の 土間に置いたよ
ここなら だいじょうぶ
神さまのしわざって？
違うよ おらは ごんぎつねだよ
いたずらもんの おらだから しかたない
でも もし神さまが いるなら
いい きつねに
いい ごん になったと
兵十どんに わかって もらえますように
短篇小説 W 別天地へ行け
『カクヨム』小説投稿サイトです♪
