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短篇小説 W 別天地へ行け
満月の夜の冒険8.夢の中
八 夢の中
みりは、つかれてぐっすりと眠っていました。夢の中で、みりは、お母さんねこや、四匹のきょうだいねこたちと、にぎやかに暮らしていた頃に戻っていました。一匹、また一匹と、きょうだいねこたちがもらわれて行き、とうとう、みりがもらわれていく最後の夜になりました。お母さんねこは、長い間、みりを、やさしくなめてくれました。
「お母さん、わたしが出て行ったら、さびしくない?」
「そうね。」
「わたし、あしたは、どこかにかくれていようか? たとえば、おふとんの中とか、クローゼットの中とか。人間たちに見つからないようにしていればいいんにゃ。」
お母さんねこは、みりをやさしくかんで、それから、顔をなめました。
「だめよ。そんなことをしたって、みつけられちゃうわ。」
「でも、みんながいなくなったら、さびしいでしょ。わたしも、おかあさんとはなれるなんて、さびしいもん。」
「だいじょうぶよ、みりには、あたらしい家族ができるのだから。」
「いやにゃ。」
みりは、あたたかいお母さんねこのお腹に顔をおしつけて、目をつむりました。
「ねむくなったにゃ。」
「おやすみ、みり。」
みりは、お母さんねこのぬくもりにつつまれて、深い眠りに落ちて行きました。
眠りの底で、自分の名前を呼んでいる声を聞きました。その声は、お母さんねこではなかったのですが、ずいぶん聞き覚えのある声だったのです。
2024-01-30 19:28
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