夕暮れのk.モーリー君③ [K.モーリー君♪]
朝、カーテンの裏に隠れていたコウモリ君は、
15時30分頃に見に行ったら、もういませんでした。
でも、そう見えても、
ドアも窓も閉めてあり密室だったのですから、また隠れているんです。
(夜行性だから、きっと夕方になったら活動するんだわ)
そう思った私は、帰宅した兄を誘い、
薄暗くなった頃、もう一度部屋に行きました。
部屋の中は、昼間の暑さでもうもうとしています。
そうしたら・・・やっぱりコウモリ君は、姿を見せていました!!!
部屋の隅の鏡台の裏に潜んでいたようです。
ただ、飛べないのか、じゅうたんの上を這っていたんですよね。
飛ぶ元気もないなんて、可哀想。
その姿は遠目で見ても、近くで見ても、どう見てもこの部屋には異質の存在・・・。
コウモリ君は、人間(私ら)から逃げようと、ほふく前進して逃げていきます。
「外へ逃がしてあげなくちゃ」
そう思って、コウモリ君を追いかけ、その背中をつかむと、意外にもやわらかくて温かい感触。
だけど、引っ張ってもじゅうたんにしがみついて、離れなくて。
コウモリ君も、必死なんです。
その時・・・
「巨大〇〇〇〇みたいだな」
兄が、そんな余計なことを言ったので、私は、はっとして手を放してしまいました。
なんていうか・・・確かに巨大〇〇〇〇にも見える・・・。
「ぎゃー、そんなこと言うなら、にいちゃんが、とって逃がしてやってよ!」
「ええっ!?」
強引にバトンタッチすると、
兄は逃げるコウモリ君をつかみ、そしてベランダへ。
「えいっ!」
コウモリ君を2階から放すと、夕闇の中、落下していきまた。
兄と私は、急いでベランダの下へ降りて行ったのですが、それらしき黒い姿は見えません。
たぶん、どこかへ逃れたのでしょう。
弱ってはいたけれど、外ならえさもあるだろうから、大丈夫。
今度こそ本当に。
よかった、よかった。
最後に一言。
「もう、はいってくんなや~~ 」 www おしまい(゜v゜) /www
真昼のk.モーリー君② [K.モーリー君♪]
朝がきました。
じつは、私は、昨夜のコウモリが、まだ部屋のどこかにいるような気がしていました。
もしも、部屋のどこかに隠れているとしたら、一匹だけで脱出することは不可能ですし、
下手をすればしんでしまうでしょう。
南東に窓があるこの部屋は、日中はとても暑くなり、凄くまぶしくて・・・。
それに、コウモリがもしいたら、昨日から何も食べていないに違いありません。
お腹も減ってるんじゃないかなぁと。
私は、部屋のカーテンのあたりを重点的に、見て回りましたが、コウモリはいませんでした。
そこで、ふと思い出します。
確か昔、コウモリのことを詠んだカルタの句があり、
イラストには、コウモリがぶら下がっている絵が描かれていたことを・・・。
カルタの句には、こう書かれていました。
『昼は 逆さで ねています』
「逆さ・・・かぁ、もしかして、逆方向から見たら見つかるかも・・・?」
そう思った私は、となりの部屋からベランダに出て、
外側から寝室のサッシを、そーっと開けて、カーテンのヒダをゆっくり点検すると・・・いました、いました!!!
コウモリ君は、カーテンのヒダの暗がりに、じっとひっついていたのです。
「失礼しましたァ・・・」
ちょっと感心したと同時に気の毒になった私は、カーテンのヒダを元に戻し、その時は、見なかったことにしてその場を離れました。
コウモリ君は、たぶん寝ているのだろうし、今は邪魔しちゃいけないと思ったので・・・。
夕暮れになった頃、逃がすのがベストかなと判断したのですよ。
ところがですね、コウモリ君は、人間の思いなんて知る由もなく、
夕方になると、また、忽然と姿を消してしまうのですよ・・・!!!
どうやら、コウモリ君は、わたしに、見られたこと、ちゃんとわかっていたみたいです(゜o゜)
どきどきしただろうね・・・とって食われると思ったか(;O;)
真夜中のk.モーリー君① [K.モーリー君♪]
ある晴れた日の深夜のお話です。
昼間に寝室の掃除をし、窓を開け放ったままにしていた私は、
寝る直前になって、窓を閉めようと、風に煽られたカーテンに手をかけました。
そのとき、
バサバサッ
「ひゃっ!!!」
私の頭をなにかがかすめた感触があったのです。
カーテンだけじゃない、なにか別のものの気配を感じた私は、
恐る恐る部屋の電灯のスイッチを点けました。
部屋をぐるりと見回すと、大人の親指くらいの黒くて小さな生き物が、
反対側のカーテンレール付近に、張り付いているのが見えたのです。
「わぁ、入ってきちゃったの~!?もう寝るのにぃ~!」
小さな生き物は、こうもりでした。
こうもりは光に弱いのだからと、私は、すぐに電灯を消し、
1階へ降りて、懐中電灯と長い棒を取ってきて、こうもりを、窓の外へ追い出そうとしました。
「ほれ、外へ!あっちだよ、あっち!」
たま~に、今までも、こうもりが家の中に入ってくることがあったので、
逃がし方は心得ています。
でも、今回のこうもりは、天井のカーテンレール付近に張り付いたまま、なかなか動こうとしません。
なかなかに、頑固なコウモリ君です。
私は、こんな深夜に面倒くさいなぁと思いながらも、物置へ行き、虫取り網を取ってきました。
捕まえてから、窓の外へ追い出すしかないなと思ったからです。
しかし、私が寝室に戻って来たときには、既にこうもりの姿はどこにも見えませんでした。
私がいないうちに、窓から出て行ったようなのです。
昨年のくわちゃん(クワガタ)の時には、昆虫の気持ちはわからないゾ~と思ったものですが、
今回のこうもり君は、さすが哺乳類だけあって、ものわかりが良かったみたいです。
「もう入ってくんなよう、おやすみー!」
私は、暗い夜空に羽ばたいて行ったであろう、こうもりにむかって叫ぶと(深夜ですから静かにね)
ベッドに入り、眠りについたのでした。
短篇小説 W 別天地へ行け