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満月の夜の冒険2.庭 [短編童話 満月の夜の冒険]

二 庭 
庭のすみっこの、ちいさな穴から、子ねずみが、顔を出しました。家の人には知られていませんが、ここに、野ねずみの親子が暮らしているのでした。子ねずみは、親ねずみから、穴ぐらから出ないようにと、言われていましたが、つい、顔を出してしまったのです。
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「あ、おかあさんだ!」
「おみやげよ。」
母ねずみは、クッキーのかけらを、子ねずみたちにあげました。ひとまわり大きな父ねずみが、小走りでやってきました。
「今夜は、なかなかのぼうけんになりそうだ。」
「あなた、おやしきには、わながしかけられているかもしれないのだから、本当に気をつけてね。」
すると、三匹の子ねずみたちは、目をきらきらと輝かせて、父ねずみに言いました。
「ぼくたちも、ついて行っていい?」
「いかん。」
「でも、ぼくたち、ぼうけんがしたいんだよ。」
「絶対に、ついて来ちゃだめだぞ。」
父ねずみは、そう言うと、出かけて行きました。


2024-01-25 14:08  nice!(0)  コメント(0) 
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満月の夜の冒険1.リビングルーム [短編童話 満月の夜の冒険]

一 リビングルーム

 学校がお休みの日、すずかちゃんは、ソファにすわって、タブレットの画像を、ねっしんに見ていました。すると、ねこのみりが、すずかちゃんのとなりにすわりました。
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「みり、見てごらん。この子が、明日から、きょうだいになる、子ねこだよ。」
すずかちゃんが、手に持っていたタブレットの、子ねこが映っている動画を、みりに見せました。
「わたしはね、きょうだいがいたら、にぎやかでいいと思うんだ。」
みりは、目をつむって、
「にゃあ。」
と、小さく鳴きました。
その時、キッチンにいたお母さんが、顔を出しました。
「みりは、今、なんて言ったのかしら?」
「にゃあって。」
「きょうだいができるのは、オッケーってこと?」
「えっ?」
みりは今、確かに返事をしたけれど、オッケーかなんて、ことばも通じないのに、決めつけるわけにはいきません。
「ちょっと、わからない。」
「ほら、みりは、『ごはん』とか『おやつ』とか、人間の言葉がわかるでしょう? だから、すずかちゃんのお話しも、ちゃんと聞いていたんじゃないかと思うのよ。」
「ねこなのに?」
「そうよ。」
すずかちゃんは、みりを見つめました。みりは、すずかちゃんによりかかって寝ころんでいます。
「ところで、おやつにしない? お母さんはねえ、クッキーが食べたい。ゴーヤとバナナとミルクのジュースも。すずかちゃんは?」
「わたしも!」
「みりには、大好きな、ささみのおやつをあげるね。」
みりは、しっぽをピンと立てました。
「すずしくなってきたし、お庭にもっていって食べようか。」
「そうだね。」
庭の芝生のところには、テーブルやイスがありました。お母さんとすずかちゃんとみりは、庭で楽しくすごしました。
 その晩、テレビを見ながら、お父さんの帰りを待っている時、突然、みりが、立ち上がったのです。見ると、しっぽの毛が逆立ってふとくなっています。
「どうしたの?」
みりは、大きな窓のほうに、耳を立てています。いったい、何におどろいたのでしょう。お母さんが、大きな窓のカーテンをめくって、外を見ました。
東の空に、満月がのぼっています。お母さんが、大きな窓のカーテンを閉めながら、つぶやきました。
「ねこってふしぎよね。なにか、あやしいものが、見えたのかしら。」
ちょうどその時、リビングルームの戸がすーっと開いたのです。
「ハックショーーーン!」
「うわっ、びっくりした! お父さん、おかえりなさい。」
「ただいま。わるいわるい。おどろかせたかな。今日は、かいぎが長引いておそくなってしまった。」
「おつかれさま。」
「風呂に入ろうかな。」
お父さんが、お風呂場に行き、お母さんが、キッチンへ行ったタイミングで、すずかちゃんは、二階の自分の部屋へ行くことにしました。
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みりは、階段の出窓の、お気に入りのクッションにすわりました。お母さんが、おひるね用にと、置いてくれたのです。お母さんと言っても、みりは、みりを生んでくれた本当のお母さんとは、小さな頃にお別れをして以来、会っていません。みりは、まだ眠くなかったので、丸くなって、毛づくろいをすることにしました。


2024-01-25 00:35  nice!(0)  コメント(0) 
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