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お話の練習 48 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]


48
ももは、ゆうこちゃんと別れて、街道沿いを歩いていました。
今日は、たくさん発見や楽しいことがあって、満足な気分でした。
直後に、あれっと違和感を感じました。
(かばんがない?やだ!どこに置いたんだっけ)
ももは、自分の足取りを思い出しました。
照山古墳公園で、たこ焼きを買ったときは、かばんを持っていたよね。
その時、お金を出そうとしたら、ゆうこちゃんが、おごってくれるって言って、だけどあたし、お金を払ったんだった。

ももは、急いで、泣きたくなるような気持ちで、公園にひきかえしました。
きっと、照山古墳公園のどこかに落ちているのです。
カバンの中には、お財布が入っています。
今月のおこづかいが、ほとんど使わずに入れてあるのです。
こういう時のももの足の速さは、マラソン大会の比ではありません。
全速力で公園めざして走りました。街道の歩道を長い間走っているうちに、公園の入り口が前方に見えてきました。

(ああ、こうやって走ってるとあの時の悪夢がよみがえってくる)
そういえば、松平くんにいじわるをされた時も、ももはこうやって、必死になって走ったのでした。
「赤城!」
突然、名前を呼ばれたような気がしました。
悪夢の繰り返しです。
ももは、聞こえないふりをして、でも気になって、走るのをやめました。
公園内は、お祭りの人手でにぎわっていました。
「赤城!何やってんの?」
「えっ!?」
みすぼらしいボロの服を着た少年が、立っていました。
ももと同じく、息を切らしています。

「松平くん!なあにその格好!誰かに襲われたの?」
松平くんは、本当にひどい格好でした。
顔は傷だらけ、上着は木の枝や枯葉やとげがついてボロボロ、おまけに上着のしたは、ランニングシャツ1枚しか来ていません。
「襲われたって・・・あのねぇ!まあいいや、今それどころじゃないんだ!赤城、携帯持ってる?救急車を呼ばなくちゃいけないんだ」
「わかった。松平くん、怪我したのね。待ってて!」
「違っ、俺じゃなくて・・・」

ももは、自分が携帯を持っていなかったため、急いで、付近にいた大人の男性に声をかけました。
「すいません!あの、救急車呼んでください!」
「はぁ?」
男性は、間の抜けた様子で、ももを見ました。
「どうかしたの?」
「えっと、えっと、あの・・・」
こんな時、説明を求められるのが、ももの最も苦手とすることでした。
松平くんが、ももに代わって、その男性に声をかけました。


2007-12-03 16:51  nice!(0)  トラックバック(0) 
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