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お話の練習 第一章 30~31 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]


30「よし、ゲットした!」
「やったぁ!」
「じゃ、これは、俺が、一晩、預かるから」
「え~!?なんで!?」
「当然でしょ。俺が、貸してもらったんだもん」
ももは、反論しました。
「待ってよ!私が、ひめ子さんのこと、どうしても見たくて、お願いしてたのに」
ももが、手を伸ばすと、松平くんは、さっとアルバムを隠して、
「俺が先!明日、返すよ。じゃね!」
松平くんは、さっさと自転車に乗り、ペダルを漕ぎはじめました。
「松平くん、なんて意地悪なの!」
ももは、松平くんの自転車を追いかけて、走りました。長ぐつを履いているのも忘れて、全速力で走りました。途中で、長くつが脱げて、ころびそうになりました。
松平くんが、自転車のブレーキをかけました。
「しつこいなー!いつまでついてくる気?」
「はぁ、はぁっ、アルバムを返してもらうまでだよっ」
ももは、長ぐつを脱いで、両手で持ちました。こうなったら、100M競争の時みたいに、走るしかありません。
「あぁ、赤城ん家が、見えてきた。じゃね!明日渡す!」
ももは、松平くんから、アルバムを取り返すことはできませんでした。

31松平くんは、家に帰り、夕食を済ますと、自室へ入り、机に向かいました。明日の予習を済ました後、いつもは、ゲームをしたり、ネットをしたりするのですが、今日は違いました。若山先生の中学校の卒業アルバムを、見つめていました。松平くんは、先生の時代の卒業アルバムが、どんなものなのか、単純に興味がありました。ももに、このアルバムを先に貸さなかったのは、もともとの動機はどうであれ、確かにあの時、自分が言い出さなければ、借りることができなかった、それが、理由でした。
「あいつが、まごまごしていたから、いけないんだ」
1ページ目には、校長先生の挨拶がありました。1組から9組まで、順にページをめくっていきました。
「クラスが多かったな、昔は」
若山先生の名前は、3年5組にありました。
「先生、変わってない!」
若山先生は、のっぺりとした顔立ちが、今と一緒でした。いかにも純朴そうな少年でした。
3年7組のページを開いた瞬間、写真前列にいた美少女が目に飛び込んできました。その美少女の名前は、「白井 ひめ子」と印字されていました。
「あ」
美醜の判断基準は、今も昔も、あまり変わらないのかもしれません。
(こんなにきれいな子は、学校中探しても、いないよな)
松平くんは、さらに、一ページづつめくり、3年9組のページを開きました。
「あれ?」
さっきと同じことが起こりました。ページを開いた瞬間、目に飛び込んできた美少女の写真があったのでした。その子は、髪はショートカットで、日に焼けて、活発そうな印象にみえました。
「俺的には、こっちの子のほうが。あれ?・・・にしても、この顔は・・・」
松平くんは、3年7組を、もう一度、見直しました。そして、もう一度、9組に戻りました。
「イメージは全然違うけどな、白井ひめ子と、顔がそっくりだ。名前は・・・黒川ゆり花」
松平くんは、アルバムを閉じました。


2007-11-06 01:48  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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