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一本気な彼と曖昧な私 [お話のかけら(練習中♪)]

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すごく気の合う彼がいたの。
でもね、彼の家に遊びに行くことはあっても、外へ出かけることはあまりなかったの。
私は外へご飯を食べに行きたくても、彼が嫌だと言えば、家で過ごした。
そうなんだ。
私の方から何かを言い出しても、だいたい却下されてしまって。
そんなこんなでもね、私もお人よしなところがあり、笑って済ましていた。
彼は、だいたい何かあるとたわいもないことで電話してきてね、
それで、「すっきりした、ばいばい」と言ってさよなら。
何かあって私の方からかけても、留守電になっていたりして、すぐには出ない。
要するに一方的なのよね。
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ある時、彼が私に、仕事の世話をしてくれると、電話があったの。
私は、自分の将来にかかわることだから、真剣に迷っていて、つい曖昧な返事をしてしまったわ。
「明日までに考えておいて」と言われて、電話を切った。
その数時間後に、再び電話がかかってきて、私の話などはお構いなしに、また仕事をしつこく勧めてきたから、
私は思わず、「私の話も聞いてくれる?」と、いつになく強い調子で、言ったの。
そしたら、彼の態度が急変して。
電話の声が急に低くなってね、怖かった。
「気を悪くさせちゃって、ごめんね」と言って謝ったんだけど、
「もういい。連絡なんかしてこないでいい」とのこと。
私もカチンと来て、本当に、連絡しなかったの。
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その後には、まったく絵文字無しのメールが来たわ。
メールには、「俺の紹介が嫌なんだね」とか「俺とはもう何の関係もないわけだから、好きにすればいいよ」
などと書いてあった。
メールでは相手の表情までは読み取れないし、電話をしようにも恐ろしくて、私はそれ以来、1度も電話を掛けていない。
日頃仲良くしてくれていた態度が一変するなんて・・・私はなんだか怖くなってしまった。
その後、別のところで就職が決まり、彼に報告とお礼のメールを入れたが、そっけない返事しか返ってこなかった。
あんなに、親しかった態度・・・あれは嘘だったのって思ったよ。
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こういう事の起こった原因は、ひとつには、私の態度がいつも、曖昧だったためだと思う。
今まで、何を言われても、うんうんと話を聞いていたのが、自己主張をするようになったから。
だから、ぶつかってしまった。
彼を失ってしまった悲しみはあるけれど、私は、私でいるために、自分の意見を言いたかった。
いつも、遠慮してばかりいて。
いい人を演じているのには、疲れちゃったの。
彼は、私を、美化したようなことばかり言っていたけど、ふたを開けてみれば、全然違っていたって思ったでしょうね。
彼が見ていたのは、本当の私ではなくて、彼の理想とする幻影だったんだよ。
思えば彼は、どこか世間ずれしていて、病んでいて、疲れてくると、私に連絡をしてきた。
私って、ただの愚痴聞き女なんじゃないかって思うくらいにね。
少し前なら、それでも構わなかった。
でも今は、それでは満足できなくて。
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私は、流されるままに、彼とおつきあいをしてきた。
彼は、正直で一本気な人で、素敵だった。
ただ、それを受け止めていられるうちはよかったが、私はくたびれてしまったんだ。
でも、ちょっと、ほっとしている。
もう、無理をしなくてもいいから。
自分の殻を捨てて脱皮して、人生の駒をすすめていかないと、このままでは私、つぶれてしまう。
自分を立てることを覚えて、人の言うままにならずに、生きていきたい。
今回のことは必要なことと思っている。
今更かもしれないけれど、彼には申し訳ないけれど、これ以上、愚痴を聞くだけの女ではいられない。
今まで、ありがとうって、伝えたい。


2010-07-02 01:09  nice!(0) 
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