ももシリーズ 81 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]
「ゆうこちゃん、次の時間はじまっちゃう。あたし達も、行こう!」
ももは、ゆうこちゃんの腕を引っ張りました。ところが、ゆうこちゃんは、強い力で、それを押し返しました。
「わたし、大嫌いよ!浜口も、マツケンも!みんな大嫌い」
「ゆうこちゃん?どうしたの?」
ももは、ゆうこちゃんの態度が、急変したので、どうすればいいのか、困ってしまいました。
もうすぐ、次の授業が、始まります。
キーンコーンカーンコーン・・・
キーンコーンカーンコーン・・・
「ねえ、予鈴が鳴ったよ、クラスへ戻ろう、ゆうこちゃん、ね?」
「ももちゃんだけ、クラスに戻ったらいいわ」
「どうして、そんなことを言うの?」
このままでは、ゆうこちゃんと言い争いになってしまいます。ももは、もめるのが最も苦手なので、なんとかそれは、避けたいと思っていました。
「フン、そんなに困った顔をして、わたしに言いたいことがあるのでしょ?ももちゃんは、ずるいわ。どちらの味方なの?いつだって、あっちにもこっちにも、いい顔をしてる。いっつも、悪者は、わたしだわ」
ももは、心臓がドキドキして、顔が赤くなるのがわかりました。目からは、涙がこぼれそうでした。
「あたし、そんなつもりじゃ・・・ただ、松平くんとゆうこちゃんが、みんなが、仲よくしてくれたら・・・と思って」
「わたしは、嫌いなのよ・・・浜口のこと。それなのに・・・」
ゆうこちゃんは、顔をおおって、廊下にしゃがみこんで、涙声でいいました。
「わたし、本当は、みんなが嫌い。ももちゃんの事だけは、大好きだった。親友だと思ってた。でもこれ以上、マツケンと仲よくするなら、ももちゃんのことも、嫌いになるわ・・・」
ももは、それを聞いて、今まで知っていたゆうこちゃんの明るいイメージを思い出すことができなくなりそうでした。ゆうこちゃんのこころの深い闇の入口の前に、自分は立っているのだと気が付き、その扉のむこうに入ってはいけないと思うのでした。
そして、気がつきました。
(ゆうこちゃんは、あたしと松平くんが仲よくするのが嫌なんだ。あたし、よくわかんないよ・・・。『大好き』がたくさんあっちゃだめなの・・・?)
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