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ももシリーズ 79 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]

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「シチューおいしいね、ゆうこちゃん」
「うん!最高~!」

給食の時間に、放送当番をしながら、2人は、銀のスプーンで、クリームシチューを口に運んでいるところでした。
ふと、その手を緩めて、ももは、言いました。

「ゆうべね、ねこと一緒に寝たの。それが、朝になったら一匹もいなくなっててね。朝ごはんになっても、戻ってこなかったの。すごく心配でさ・・・」

そうなのです。
飼っているねこ達が、深夜に勝手口から出掛け、そのまま、いなくなってしまったのです。
ゆうこちゃんも、スプーンを持つ手を止めて、驚いた顔で言いました。

「みいちゃんと、たっちゃんと、こももっちも、いなくなっちゃったの??」
「・・・うん」

なかでも、ぶちねこのこももは、性格的に、ももにそっくりでした。
普段はおとなしいのに、おっちょこちょいで、おっとりして見える感じがあるというのでしょうか。

「どっかいっちゃったんじゃ、ないと思うわ。ねこって、夜活動するっていうもの。平気平気!きっと戻ってくるわよぅ!だっていっつも、ももちゃんの学校の帰りを待ってるんでしょ?玄関先でお座りして」
「ねぇ、どうしよう!今日、あたしが帰っても、ねこ達、戻っていなかったら・・・」
「あぁ~ももちゃん、最悪の事考えちゃったのね!大丈夫大丈夫!近所の子に、聞いてみましょ!ねこにゃん見ませんでした~って、ね?」

放送室を出ると、ちょうど、松平くんと田中くんが、次の社会科の授業に使う世界地図の巻物を持って、廊下を歩いてきました。
ゆうこちゃんは、男の子達を見ると、さっき、ももを慰めてくれた優しい調子とはうって変って、強い足取りで歩き始めました。

すると、田中くんが、持っていた世界地図で、松平くんの背中を突っつきました。

「なんだよっ!?たなちょん」

田中君は、にやにやして、松平くんの反応をうかがって、笑っていました。その先には、ももとゆうこちゃんがいました。

「くっそーっ!」

松平くんが、世界地図を奪い取って、たなちょんの背中に仕返しをしたところで、ゆうこちゃんが、きっぱりといいました。

「何よ、廊下で騒いじゃだめよ!わたしたち6年生が、そんな子供でどうするの?低学年の子達に、しめしがつかないじゃないの」
「こ、怖ぇ~!すんませんでしたっ!行こうぜ、マツケン!」

田中くんが、すぐに謝って、松平くんの腕を引っ張って逃げようとしたのですが、松平くんは、その場に残りました。

「な、なによ!?マツケン!何か反論があるの?」
「ねぇよ!それより・・・赤城!」
「えっっ?なぁに?」
「ちょっとちょっと!ももちゃんに直接話しかけないでくれる?今、すっごく傷ついてるんだからね」
「うっせーな!関係ないだろ!」
「関係あるわよっ、わたしは、ももちゃんの親友よっ!大親友なんだから!」

そこで、廊下の向こうから、もものクラス担任の若山先生が、声をかけました。

「ほぅら!君達は!遊ぶなら、校庭か体育館へ出なさい」
「あ、はいっ・・・!」

3人は、顔を見合わせました。

「一時、休戦ね」

ゆうこちゃんは、そういって、腕組みしました。
松平くんは、ほっと息をついて、言いました。

「倉沢が、一番、声が響くって、わかってんのかね?」
「そんなことっ」
「ゆうこちゃん、歌もうまいもんね」
「赤城、それ、わざと話ずらしてんの?」
「歌のうまい人は、発声ができてるから、声も大きいってことがいいたくって。ゆうこちゃん、ピアノの弾き語りも上手なんだよ」
「ふーん」
「いいのよそんなこと」

ゆうこちゃんは、少し顔を赤くして、話を遮りました。
ももは、忘れてたことを思い出しました。

「そうだ!あたし、松平くんのこと、怒ってたんだったっけ」
「ぷっ!なんだよそれ。そういうことは、普通、心の中で言うんじゃねぇの?」

ももは、思ったことを隠しておけないのです。
松平くんは、もものそういうところが、不思議でたまりません。思わず、笑ってしまいました。
そして、頼みごとをするには、今がチャンスだと感じました。











2009-02-18 01:53  nice!(0)  コメント(0) 
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