素直がいちばん [お話のかけら(練習中♪)]
わたしの周りには 幾重にも防御壁がはりめぐらしてあり
知らない人や怖い人は 入ってこれない
心は壁そのもの
1枚には 扉がついていて
その扉の鍵を持っているのは わたしだけだ
ごくたまに
奇跡的に 扉を開けて入ってくる人がいる
その人の持っている心が わたしとぴったりと合うときだ
わたしは 永いこと
心を許せる友達を 待っていた
素直になれなかった午後の 思い出が
扉の奥に夕日みたいに 差し込む
もう 思い出せないほどの時間
大切にしてきた友情
そんな毎日のなかで
わたしは 心の扉の鍵を なくしてしまった
心の扉は 気が合わない人には 開かずの扉になった
気にする人など
誰もいなくなり わたしは
高台から 周囲を眺めた
遠くから
まっすぐに歩いて来た人がいて
防御壁の前に立って 表札を確認していた
知らない人だった
わたしは その人をよく見た
いい人そうだけど怖かった 壁があってよかったと思った
それから その人を再び見たとき
どくん どくんと 胸騒ぎがとまらなくて
胸が張り裂けそうになった
気がつけば 防御壁が1枚なくなっていた
わたしの心の壁は こんなにもろいものだったかと
驚いて間もなく 2枚目の壁も 消えてしまった
恐ろしい気持ちと 不思議な心地好さが
両方で わたしは 怖くてたまらないのか
嬉しくてしょうがないのか
どちらなのか わからないまま どうしようかと悩んだ
その人は 最奥の扉の前で 心の鍵を差し込んだ
だが 扉は開かなかった
1枚の扉が 2人を隔てる永遠の扉だった
最後の壁だった
そんなものは もういらなかった
それなのに 素直になれないわたしの心は
壁をつくろうとしてしまうのだった
誤解の壁が 立ちはだかった
その人は 言った
一緒に風になろう
手をつないで 空を飛ぼう
わたしは
その人と手をつなぐために
壁を飛び越えた
つないだ手は 温かくしっかりとしていた
わたしの心は 抱きしめられた
青い空に向かって
2人は 飛び立った
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