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みーちゃんの半分眠り [さらさちゃん♪水想録]

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「みーちゃん?ねえ、おーーーい!」
さらさちゃんは、水槽の中から、口をあけて一生懸命呼びました。
「みーちゃん、半分眠りしてんのっ!?」
半分眠りとは、お魚達がよくする、目を開けたままうつらうつらすることをいいます。
そうなのです。
みーちゃんは、さっきから、身動きもしないで、
いつものお決まりの椅子にすわったままなのです。
時折、まばたきはするものの、視線は宙を見つめたまま動きません。
さらさちゃんは、同居魚のでめちゃんと一緒に、みーちゃんが次にどうするか、見ていました。
「あっ、でめ!見て!みーちゃん、今、息をしたヨ」
「うん」
「死んでない?」
「死んでないんでない?」
「アイ?」
「死んでないよ、ほら!」
みーちゃんは、また、息をひとつ吐き出しました。
「みーちゃーん」
「みーちゃぁん」
今度は、さらさちゃんとでめちゃんの2匹で、泳ぎながら、同時に呼びました。
すると、
「はっ、いっけない!あたしここで、何してんだろね。さっきから、だいぶ経ってるよね」
「よかったぁ!みーちゃん、死んでなくて」
さらさちゃんが言うと、みーちゃんは、笑いました。
「心配してくれてたの?ありがとう、さらさチャンにでめチャン、可愛い金魚達。あたしは、簡単に死なないわ」
「よかった!」
「うふふ」
さらさちゃんは、みーちゃんがいつも通りの元気を取り戻したので、安心して、一泳ぎしてきました。
その直後、またなのです。
みーちゃんは、頬杖をついたまま、じっと動かなくなってしまいました。
「・・・」
「・・・」
みーちゃんの様子は、なんだか、病気とは違う感じです。
「みーちゃん、何か、お悩み?」
さらさちゃんは、水草をかじるふりをして、横目で、そっと聞きました。
「うん。ちょっとね」
「チョット?」
「ちょっとした恋の・・・」
「ン?」
「ううん、何でもない。さらさちゃんは、でめちゃんと出会ったばっかりの頃は、でめちゃんのこと、つっついたりしたわよね。
でも、しばらくしてしなくなった。その後は、でめちゃんの後ろをついてまわって泳いだり、砂利掃除したり、泳いだりしていつも、そばにいて仲良し。その姿を見てると、とっても微笑ましくて、あたしも、癒されるなぁって思うの」
「へえ」
「それにね、でめちゃんは、とってもマイペースで、さらさちゃんもそうなのに、不思議となんだか気が合う感じに見えるわ」
「ン。でめとは、だいたい、いつも考えてること、一緒だから」
さらさちゃんは、そう言うと、でめちゃんに話しかけました。
「ね、でめ?そうでしょ?」
「うん、まぁ」
「えっ!?そうなの!?それって、すごくない?お魚の心ってみんな共通なの?」
みーちゃんは、驚きました。
「イマイ家の魚は、そうだよ、きっと」
「びっくり・・・。いいね。気持ちが通じ合っているんだね」
みーちゃんは、またしても、考えてしまいました。
「あのね、あたし、気になっているヒトがいるの。そのヒトは、優しくてすごく積極的な人なの」
「ヒト~♪」
「たくさん、優しさをもらったから、何かお返しをしたいなって思っているの。でも、どうしたらいいのか、わかんなくって」
みーちゃんは、水槽の中のお魚達を、真剣なまなざしで見つめて言いました。
「さらさちゃんとでめちゃんは、どう思う?」
すると、でめちゃんが、ふわりふわり水面を泳ぎながら、ゆっくりと歌うように言いました。
「イマイ家の金魚は、みーちゃんのことが、大好き♪」
「アイ♪右に同じく!それが、共通の思い!みーちゃんのことが、大好きだから、見つめるし話しかける!」
さらさちゃんも、得意げに、尾ひれを振って上下に泳ぎながら言いました。
「あ・・・!でもさ、はずかしくてそんなことできない時は、どうすればいいかしら?」
「えーと、それは、ナーンニモしないってこと?ボクたち金魚が、みーちゃんを大好きなのに、みーちゃんを無視するってコト?そんなことできないよ?ハズカシイってよくわかんない気持ちダナ」
「みーちゃんが、話しかけてくれると、嬉しいよ。だから、みーちゃんも、ヒト♪にそうすれば?」
「そうか、ありがとう。さらさチャン、でめチャン♪」
お魚達は、しゃべりすぎて、ちょっと空気が足りなくなったのか、水面へ上がったり、水草をつっついたりしはじめました。
その後、水中で一休みしました。
みーちゃんは、コーヒーを一杯飲みながら、好きなヒト♪のことを、真剣に考え始めるのでした。


2008-05-28 18:31  nice!(2)  コメント(0) 
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