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ももシリーズ 72 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]

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72
帰りの時間になりました。6年3組の先生と生徒たちは、校庭で、焼きいもを食べました。
ももは、ゆうこちゃんが早退してしまったので、他の友達と一緒でした。
それは、人一倍思いやりのある、熊田しずかさんでした。
熊田さんは、みんなから、くまちゃんと呼ばれて親しまれています。

「ゆうこちゃんは、大丈夫だったの?ももちゃん、すぐに教室へ戻ってきたでしょ?」
「うん、あたし・・・そうなんだよね」

くまちゃんは、ももの様子を見て、さらに、言いました。

「ごめんね。私、クラスに具合の悪い子がいたら、真っ先に保健室連れて行かなきゃいけない立場なのに・・・。いつも級長のほうに任せっきりで・・・。でもね、今日わかったの。私だって、気持ちさえちゃんと持っていれば、級長に後れをとることないんだなぁって。ももちゃんがしてくれたとおりに。だから、ありがとう、ももちゃん。大切なことを教えてくれて。ももちゃんって、いつもはおっとりしている感じだけれど、いざというとき、勇気あるよね。あっ、ごめんね!変な意味じゃないよっ?」

くまちゃんが、慌てて手を振りながら、訂正したので、ももも、急いで首を振りました。

「そんな、くまちゃんが考えているようなこと、してないよ。あたしは、ゆうこちゃんが心配でついていっただけ。ほんとだね~、今思えば、級長に任せておくのが普通なのにね。あたしって、どうして、場違いなことばっかりしちゃうんだろう」
「ももちゃんは、そのままでいいんだよ。ずっと、そのままでいて欲しいな」
くまちゃんは、にこにこ笑っていました。ももは、くまちゃんになら、さっきのことを話せるかなとふと思いました。
「ねえ、あのね、くまちゃん、松平くんのことなんだけど・・・」
校庭を見回すと、松平くん達は、とっくに焼きいもを食べ終えて、男子同士で2チームに分かれ、野球をして遊んでいました。
「うん」
「ちょっと話、長くなっちゃうけどいいかなぁ?」
「大丈夫!」
「さっきね、3人で廊下へ出てから、険悪なムードになっちゃったの。ゆうこちゃんが、『塾さぼっちゃおうかな』って言ってね。あたしも、ゆうこちゃんが今まで、なにかをサボるのを見たことがないから、えっ!?ってびっくりしたようなこと言っちゃったの、悪かったなって思ってるんだけど・・・。松平くんなんかね、『仮病なら、ばかばかしい』って、ゆうこちゃんのこと決めつけて、切り捨てるみたいに言っちゃったの。そんなこと言われたらさ、誰だって、傷つくよね?それで・・・ゆうこちゃん、傷ついて、ひとりで、帰っちゃったの。
あたしはね、ゆうこちゃんは、具合が悪いから、塾サボろうって言ったんだと思うの。そう思うのが普通だよね?それなのに、松平くんはさ、仮病だろうって言うの。どうしてかな?松平くんって、相当ひねくれてるのかな・・・?」

もものおしゃべりをじっと聞いていたくまちゃんは、そのまま、少し考えてから、言いました。

「級長・・・松平くんは、人のことよく見てる人だと思うの。
うちのクラスさ、いじめがないじゃん?ちょっと、話飛んじゃうんだけど・・・私ね、そういうクラスができあがったのは、なぜなんだろうって、すごく考えた時期があったの。やっぱり、団結力が違うのかなって思った。結構、個性強いメンバーが多いのに、団結してる。先生の力が、大きいよね。それに、クラスをまとめている人が、しっかりとしてる。あたしは、副級長だけど、全然ダメ!目立たない役目は得意だわ。だけど、クラスをまとめていく力がないから。
その点、級長は・・・松平くんは、すごいよ。私たちの6の3の団結力が、校内で一番だっていえるのは、級長のおかげかも知れない。級長は・・・松平くんは、つねに全体をよく見てる人なの。頭がきれるし、責任感が強い。それに、誰かが、困っていたりとか、仲間外れになっていることがないように、いつも気を配っている。それが自然過ぎて、みんな案外気づいてないかもしれないね。あたしは、たまたま副をしてるから、わかる。
だからね、級長のこと、私は、ひねくれているとは思わない。むしろ、逆だと思うな」

くまちゃんは、付け足しました。

「それに、級長は、ももちゃんのこと、すごく信頼してる気がする」
「信頼!?」

ももは、思ってもみないことを言われて、驚きました。

「そう。ももちゃんは、正直な人でしょ。なんでも、そのまま受け止めてくれるところが、安心できるの。それだから、クールな級長の気持ちを逆に動かすのかな~?な~んて、これは、あたしの新しい研究課題にしとこう!」
「えぇっ!?研究課題にされちゃうの!教えて!何か、松平くんのことで、わかったことがあったら。どうしても、あの感じ、いつもひっかかるんだもん!」
「大丈夫!ももちゃんパワーだよ!」
「なにそれ!?くまちゃん、からかってんな~」
「それより、ももちゃんさ、どうして、『松平くん』って言うの?みんなは、『マツケン』って呼ぶのに。まあ、私もつい、『級長』って言っちゃうのは、そこへ置いといて。不思議に思ってた」
「それは・・・、うん、前にクラスでしゃべってた時に、松平くんが、『マツケンって言うな』みたいなこと言ってたでしょ?ブームが終わったのに、そんな風に呼ばれるの、嫌なのかな~って思って。まぁ、あだ名なんて、そんなもんだったりするから・・・関係ないかっ」
「その気持ち、わかるな~」
くまちゃんは、相手の気持ちを汲み取ることのできる女の子なのでした。副級長は、良き相談役として、じつはクラスをまとめているのでした。


2008-05-07 18:55  nice!(0)  コメント(0) 
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