花になりたい [お話のかけら(練習中♪)]
窓の内側から見える景色は、いつもと変わらない。
わたしは、いつもここにいるの。
窓辺の椅子に腰掛けて、お庭の様子を眺めているときが、いちばん幸せ。
鳥さんが遊びにきたり、虫さんが飛び回ったり、たまには、ねこさんもくる。
みんな、うちのお庭が大好きね。
わたしも、お庭が大好きよ。
大きな桜の木のそばで、お花たちが、嬉しそうに咲いているでしょ、わたしも、嬉しくなっちゃうの。
太陽に向かって、嬉しそうに咲いているのを見るのが、好き。
わたしとは、全然違うもの。
一日じゅうをこうして家の中で過ごしているわたしは、どうしたら希望を持てるのかしら。
それでずっと考えているの。
わたしも、お花になれたらいいのになって。
そう思って考えているときには、必ず幸福感でいっぱいになれるんだわ。
クローバーに囲まれて、そっと咲いている、シロツメクサの花?
すっとのびている黄色いスイセン?
ピンク色のチューリップを見ているときは、もっと幸せかしら。
この家のお庭で、わたしは、いつかお花になるわ。
それには、どうしたらいいのかしら。
どうしたら・・・?
ああ、おばあさんは、どうして帰ってこないのかしら?
ひとりで家の中にいるようになってから、生活が変わってしまったのよ。
おばあさんがいた頃は、わたしを外へ連れ出してくれたのに。
もっと、近くでお花を眺められたのに。
この冬、おばあさんは、わたしを置いていなくなってしまったの。
春になったら戻ってくるって、そう思っていたのに・・・。
でも、わたし、悲しくなんかないわ。
おばあさんがいなくったって、ひとりで、生きてこれた。
頑張ってこれたんだから。
でも、ちょっともう、限界かな。
食料もなくなってきたし。
はやく、はやく、お花になる方法をみつけなきゃ。
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