金魚問答 前編 [さらさちゃん♪水想録]
金魚のさらさちゃんは、水槽の中で昼寝をしていました。
「じゃあ行ってくるね」
突然声をかけられてびっくりして、軽く飛びはねました。
「どこ行くの?」
「温泉に行ってくるわ。だからさらさちゃん、しばらくは、水草をかじって耐え忍んでね」
みーちゃんは、人間です。にぎりこぶしをつくってみせました。
「ごはんは?」
「あさってまであげられないの。なんとか気合で乗り切るのよ」
「・・・」
金魚のさらさちゃんは、ごはんがもらえないことに抗議の気持ちをこめて、尾ひれを細かく振りました。
「ごはん抜き?やだよ。あたしも、一緒に行く」
「さらさちゃんも一緒に?」
みーちゃんは、想像しました。だめです。だってさらさちゃんは水の中じゃないと泳げません。
「聞き分けのないこといっちゃだめよ」
さらさちゃんは、むくれました。
「みーちゃんと川を泳いで一緒に行くのは?」
「泳ぐの苦手だもの」
「そっか、ひれがないもんね。川なら一緒に行けると思ったのになぁ」
さらさちゃんは水槽の中を、マッハの勢いで一周してみせました。
「温泉ってどんなの?」
「熱い水の中につかって、『あ~いい湯だなぁ』っていうものよ」
「えー?熱い水の中で泳ぐの?」
「ううん、首から上だけ出してつかってるだけ」
「な、なにそれ?変だよ、みーちゃん。あたし、待つことにする」
「さらさちゃんに、ちゃんとおみやげ買ってくるわ」
「アイ」
「じゃあ、ほんとに、行って来ます。留守をよろしく」
「いってらっしゃアイ」
みーちゃんが、ドアを閉めて出て行くのを見届けた後、さらさちゃんは、ちょっとだけ水草をかじりました。
それから、せっせと砂利掃除をはじめました。
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温泉はいいですね。私も好きです。気持が開放されます。自然とも仲良く出来るし・・・。コメント有難うございます♪
by (2008-02-16 16:55)