SSブログ
myoko.jpg  ←~生命地域~妙高高原♪

シュナの旅 宮崎駿 著 アニメージュ文庫 [読書記録♪]


宮崎駿さんが、チベットの民話をもとに、オールカラーで描いた絵物語です。
宮崎さんワールドが展開されていきます。
この本の初版は、1983年です。
地味な内容なために映画化の企画は通らないであろうとのことで、絵物語としてまとめられたそうです。

シュナの旅には、貧しい小国の王子が出てきます。
王子は、大地に豊穣をもたらす黄金の種を求めて、ヤックルと供に旅に出ます。
腐った大地と水たまり、人買い市場のある都城の街、小さな姉妹、大地の果て、神人の土地、
滅びたはずの生物が生きている海、深い森、みどり色の巨人、奇怪なあたたかい建造物、
黄金の種にまつわる恐ろしいこと、北方のまずしい村、意地悪な老婆、姉妹との再会、
失った記憶を取り戻すいきさつ、収穫、新しい旅立ち。

エピソードのひとつひとつに、今までの宮崎さんの映画を観ているような錯覚をおぼえます。
自然は怖くて清浄な世界。
人は悪にも善にも奴隷にもなりながら、温もりと希望の象徴でもあります。
シュナは、コナンであり、ナウシカであり、アスベルであり、パズーであり、アシタカなのです。
宮崎駿さんの描きたかった世界は、本当に昔から変わらないものだったようです。
あの1983年頃から、今のこの不浄な世界とこれからやってくる食物難の時世を知っていたかのような、物語の展開です。
最後には、救いがきちんと描かれています。

さて、困難がそこにあったとき、どうすればいいのでしょうか。
戦ったり、受け止めたり、逃げたり、知らないふりをしたり、悩んだり、愚痴を言ったり、その時の状況によって変わるかも知れません。
宮崎さんの描く主人公は、困難と知って立ち向かっていきます。
困難は受け止めはしても、通り過ぎてしまいたい、楽をして、立ち向かわないことを選ぶ。
嘘をついてごまかそうとする。そんな現代の風潮では、シュナの行動は、普通ではなく映るかもわかりません。
あるいは、「武士道」につながって見えるようでもあります。
困難が好きじゃない人間からすると、岩をも打ち砕かん信念がもたらすシュナの行動力には、不思議と癒されてしまいます。
現代人は、いかにして、「困難を困難と受け止めずに生きていくか」に、必死です。
シュナは、「困難を困難と受け止めて、立ち向かっていく」のです。
それはもしかすると、「できないことをできるようにするためのたった一つの方法」なのかも知れません。
51KE2VJZBEL__AA240_.jpg


2008-02-11 14:40  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 
短篇小説 W   別天地へ行け

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]