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ももシリーズ 64 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]


64
ももは、久しぶりに、おばあさんの家の前まで来ていました。
ねこのこももと一緒に散歩しながら来たのでした。
家の前の道路に、見慣れない白い車が止まっていました。
「誰か、来ているのかな?」
入るに入れず、しばらく家の前で、待っていましたが、誰も出てくる気配はありません。
すると、中から、声が聞こえてきました。
「あいたたた・・・」
「つかまってください。せいの!よいしょ!」
おばあさんは、怪我でもしたのでしょうか。
誰かに手を貸してもらっているようです。
その時、ももは、急に斜め後ろから、声をかけられました。
「・・・赤城さん?」
ふりむくと、同じクラスの大関翼くんでした。
翼くんは、松平くんたちと別れて、帰り道に近くを通りかかったのです。
「わっ、びっくりした!翼ちゃん」
翼くんは、女の子たちから、翼ちゃんと呼ばれていました。
「何しているのかと、思ったでしょ?」
「ううん。・・・うん」
「やっぱり?」
「あっ、可愛いね。ねこ。名前は?」
「えっとね」
「待って・・・当てます!」
「えっ?」
「・・・ぶち。だって、ぶちねこだから」
「ブー。違~う」
「・・・じゃあ、キャンディ」
「どうして?」
「赤城さん、あめ好きって言ってたから」
「そんなこと言ったかな。はずれー!。この子の名前はね」
ももが言おうとすると、翼くんがぼそっと言いました。
「・・・マ、マツケン?」
「マ、マツケンって、なにそれ!?」
「・・・だって、好きだから・・・?」
「翼ちゃん、変だよ、変!ヘンヘン!」
「あっ、でも、ぼくんちのかめの名前には・・・。いえ、なんでもないです・・・」
翼くんの大事なかめに、どんな名前がついているのか、ももには、見当もつきませんでした。
「この子ね、こももっていうの」
「超可愛いや。抱っこしてもいい?」
「うん、いいよ」
翼くんが抱っこすると、こももは、居心地悪そうに身を固めて暴れて、翼くんの手をひっかきました。
「・・・いて」
「ごめんね、大丈夫?」
こももは、手から逃れ、走り去っていきました。
「・・・ぼく、帰ろ」
「ばいばい」
「赤城さんは、帰らないの?」
「あたしね、ここの家のおばあさんに会いに来たの。だけど、誰かお客さんが来てるみたいだから、少し待っていようと思うの」
「・・・ぼくも一緒にいようかな」
「おばあさんと話すの、好き?」
「一応、お婆ちゃんっこだから」
「そっか、じゃあ一緒に待っててくれる?」
翼くんは、ももと話していると、すらすらと言葉が出てくるみたいです。
ももにとっても、翼くんは、ちょっと変な者同士?話しやすい男の子でした。
しばらく待っている間に、翼くんが、もじもじし始めました。
「赤城さん、あの、ちょっと・・・」
「どうしたの?」
「・・・あの、その」
「帰るの?」
「・・・また、すぐ戻ってくるので」
ももは、少し考えて、今日は、もう帰ることにしました。
「大丈夫?ごめんね、つき合わせちゃって。あたしも、帰ることにする。また明日、学校でね。ばいばい、翼ちゃん」
ももが、手を振ると、翼くんは、手を振りながら、猛然と走り去っていきました。ももは、翼くんは変な子だなぁと思いました。でも、気が合うところもあるのです。


2008-01-30 00:20  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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