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お話の練習 53 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]


53
公園の近くに、長いトラックが停まっていました。車の窓ガラスが曇っています。ももが、自転車を立ち乗りしながら通りすぎようとしたとき、急にトラックの運転席のドアが開きました。慌ててよけたので、無事に公園へ着きました。
(びっくりした!危なく車のドアにぶつかるところだった)
ももは、自転車を川へ降りる階段のそばまで乗っていき、かばんが落ちていないか探しました。階段の下まで行きましたが、昨日ゆうこちゃんと座った川の近くにはありませんでした。
(おかしいな~。なくしたとすれば、この辺なのに。たこ焼き屋さんへ向かった道をたどってみよう)
屋台村は、昨日の賑わいとはうって変わって、シーンとしていました。カラスとすずめだけが、忙しく道端に落ちている食べ物を探しているところでした。
「ねえ、きみたち、あたしのかばん、知らない?」
ももは、鳥たちに話しかけました。鳥たちは、知らぬふりで、ちょこちょこと何かをついばんでいます。
「そうかぁ、わかんないよね。朝ごはん、おいしい?」
 そのうちに後ろから、ざくっ、ざくっという足音がしたので、はっとして振り返ると、金髪で色の白い女の人が歩いてくるのが見えました。女の人は、どんどん近づいてきました。ももは、心臓がどきどきしました。逃げようか、それとも・・・?
「あんた、誰と話していたの?」
女の人は、眉毛のない白い顔で、ももをにらみました。
「あの、あの・・・」
鳥さんと話していたの・・・と言おうか言うまいか迷っていると、
「あんた、霊が見えるの?もし見えるのなら、教えて」
女の人は、ももが、幽霊と話をしているのだと思ったようでした。
「み、見えません」
首をぶるぶると横にふって答えると、女の人は、ちょっと肩をすくめました。
「幽霊とお話できないの~?超笑えるんだけど。ざ~んねん」
「おねえさん、お祭りの屋台の人ですか?」
「天下一品クレープ屋のおねえ系美人!といえばあたしのことヨ。てか、まだ朝飯前のメイク前。店はここね。8時過ぎたらまたおいで!クレープの大盛りつくってあげる!」
クレープ屋のおねえさんは、ももに店の場所を教えてくれました。ももは、おねえさんに、かばんのことを聞こうと思い立ち、昨日のことを話しました。
「マジ?昨日の救急車、あんたの友達だったの~可愛そうに。なくしものなら、総合事務所のテントに届いているんじゃない?一緒に行ってあげる」
おねえさんは、ももを案内してくれました。すると、テントの忘れ物置き場のところに、もものかばんが置いてありました。
「これです、あたしのかばん!」
おねえさんは、言いました。
「中身は大丈夫?お金は入ってる?ちゃんと確認したほうがいいって」
ももは、慌ててお財布の中を調べました。お金はちゃんとありました。
「入ってました・・・あのこれ、ちょっとだけど、お礼です」
ももは、100円を出して、おねえさんにあげようとしました。
「い~よ!いらない!いらない!いらない!ホント朝から笑かしてくれるよ、この子は」
おねえさんは、大爆笑していました。
「だって・・・。おねえさん、ありがとう」
「だんだん明るくなってきた。あんたここで一緒に働いてみる?」
「あたし、うちへ帰らないと。その、内緒で出てきちゃったから」
「そうなの~。ん~じゃ、早く帰りな」
ももが頭を下げると、おねえさんは、花が咲いたようににこっと笑い、お別れする時、ももに長いこと手を振ってくれました。
みかけはかっこよくて怖いけれど、とても優しいおねえさんでした。
朝日が顔を出しはじめまています。急いで帰らないと、お父さんとお母さんが、起きてしまいます。ももは急いで、自転車にまたがり、元来た道を引き返しました。


2007-12-20 16:23  nice!(0)  コメント(0) 
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