お話の練習 52 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]
52
日曜日の朝、ももは、ぱっちりと目が覚めました。
閉め忘れたカーテンの向こうから、夜が明けきっていないようすがわかりました。
(何時だろう?・・・5時?こんな朝早くに目が覚めるなんて、すごいかも)
早く寝ると目が覚めるのも早いものです。
ももは、起きて着替えると、そっと玄関から、おもてへ出ました。
小鳥たちはとっくに起きて、元気にさえずっていました。それを聞いていると、まだ暗い静かな町もさびしくないように感じられました。
(お父さんやお母さんが起きてこないうちに、なくしたかばんを見つけなきゃ)
忘れっぽい人ナンバーワンの座を誰にもゆずったことのないももは、忘れ物のことで、お母さんに怒られることが、頻繁にありました。
学校から上履きで帰ってきたとか、傘を忘れてきたとか、消しゴムをなくしたとか、数え上げればきりがありません。
なかでも一番怒られたのは、今年の春、体操着袋をグラウンドに、ランドセルを公園に置いたまま帰ってきたときでした。
しかも、学校から電話がかかってきて気がついたのです。
「ランドセルも体操着袋も両方、別々の場所に置いてくるなんて、来年中学にあがるというのに・・・。忘れっぽいを通り越して、この子はどこかおかしいんじゃないかしら」
お父さんとお母さんは、もものことを、真剣に話し合っていました。
たぶん、また、かばんを忘れてきたなどと言ったら、極度にがっかりされるか心配されるか、怒られることでしょう。
ももは、親に気がつかれる前に見つけてくるつもりでした。
それに、かばんの中には、大事なものが入っていました。
・お財布(ゆうこちゃん手づくりのビーズの可愛い犬のストラップがついている、所持金約3千円)
・メモ帳(思いついたことが書いてある)
・ボールペン(お正月に買ってもらったお気に入りのペン、スヌーピーの絵入り)
・水玉のハンカチ(可愛いのでお母さんから時々借りている)
・リップクリーム(おいしいシトラス味)
かばんは、布のフリルのついた手提げかばんでした。こちらも、お気に入りの品。
ももは、自転車に乗って、照山古墳公園へ続く道を、まっすぐに走り抜けました。
(もう一枚、上着を着てくるべきだったみたい)
朝の空気は、まだ太陽に温められていません。一生懸命にペダルをこぎました。
時折まだ、街頭が点いているところがありました。
夜明け前というのは、夕方に似た雰囲気ですが、どこの家の庭も電信柱でさえも、朝方の夢を見ているように静かに感じられました。
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