お話の練習 第一章 34 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]
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きゃっきゃとはしゃぎながら目的を果たしたももとゆうこちゃんは、
松平くんの机に、アルバムを入れようと、教室に戻ってきました。
松平くんは、工作クラブに入っています。
今の時間は図工室にいるはずでした。
ももは、昨日、塾の時間をおしてまで付き合わせてしまったことを、松平くんに謝りたいと、ひそかに思っていました。
でも今日は、ゆうこちゃんと一緒に行きたいところもあるので、無理かもしれません。
松平くんの机にアルバムを入れて帰ることにしましたが、
彼の机の中には、ノートやら参考書やらが詰まっていて、入れることができませんでした。
「入らないね」
「何この机?あっ」
机の中から、本が何冊か、床へ落っこちました。
ゆうこちゃんが、しゃがんで拾いました。
「科学の本、SFマガジン、飛行機図鑑。学校にこんな本持ってきてるんだ、あの子」
そこで後ろから、声をかけられました。
「なにしてんの?俺の本、勝手に出さないでくれる?」
松平くんと友達の浜口くんが、クラブを終えて、戻ってきたのでした。
ゆうこちゃんは、早速カチンときたようでした。
「マツケンに言ってやろうと思ったの。弱いものいじめは最低よ!」
「弱いものいじめ?」
松平くんは、ももを見て、変な顔をしました。
「俺がそんなこと、するわけないじゃん」
今度は、ももがカチンときました。
「机の中は、物が一杯で入りませんでしたっ!」
「悪かったね!これから先生のところへ行って、アルバム返しに行くんだ。かしてよ」
ゆうこちゃんからアルバムをさっと取ると、松平くんは、教室を出て行きました。
ももは、どうしようかと思いました。
「いいじゃない、あいつにはいい薬よ。ほっときましょ」
ゆうこちゃんは、言いたかった一言が言えて、満足したようでした。
ももは、ゆうこちゃんほどには、なんだか気持ちが晴れませんでした。
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