ももシリーズ 80 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]
「うざくなってきたから、はっきり言う。倉沢さ、ハマーの見舞いに、一緒に行ってくれないかな」
「・・・は?」
一瞬の間をおいて、ゆうこちゃんが、ちょっと驚いた調子で言いました。
「一緒に?わたしと?」
「うん。あいつ、倉沢が行けばさ、きっと、すげぇ元気になると思うんだ。頼むよ」
ゆうこちゃんは、結んでいた口を開きました。
「嫌よ、あいつのお見舞いなんて、行きたくない」
松平くんが、カチンときた様子で、腕組みしました。
「なんでそういう言い方すんのかね、ほんとに、可愛げのない」
「うるさいわね!」
「それじゃ、聞くぞ!例えば、赤城が、入院したとする」
「えっ!?なに突然、あたし?入院なんてしないよ?健康だよ、ごはんもおいしいし」
「赤城は、今、ちょっと黙ってて!」
「・・・・・。」
「で、病院で、動けなくて、落ち込んでいて、オレに会いたいって、言ったとするじゃん」
「ええっ!!!言わない、言わない!あたしがそんなこと。すごい妄想!」
松平くんは、少し頬を赤らめはしたものの、表情を変えず、ももの発言を、スルーしました。
「そうしたら、倉沢、どうする?」
松平くんは、逆の立場で、ゆうこちゃんに考えてもらうことによって、浜口くんのお見舞いに行くことを考えてもらおうとしたのです。
「どうするって、誘導尋問だわね」
ゆうこちゃんは、不敵に笑いました。
「わたしなら、こう言うわ。『早く、けがを治して、学校に来て』それで、おしまいよ。ばかじゃないの、お見舞いに行きたくないって言っている人を、無理矢理に連れて行くなんて、おかしいわよ」
倉沢ゆうこちゃんは、学校一目立つ女の子と言ってもいいくらい、気が強くて、頭もよくて、なんでもできて、美人。
そんな彼女を、浜口くんが大好きなことは、もものクラスメイトは、みんな知っています。
「なんだよ、その態度。すっげぇ、むかついた!おまえ、仲間じゃねえのかよっ」
松平くんは、一人で、階段を下りて行ってしまいました。
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