綺麗で優しくて健気なもの♪ [さらさちゃん♪水想録]
「今日はテレビで、フィギュアスケートがあるの。一緒に見ようね」
みーちゃんは、テレビのチャンネルを替えました。
「浅田真央ちゃん、中野友加里ちゃん、がんばって!!!」
「さらさちゃんは?」
「興味ナイって、砂利突っついてるヨ」
「そうなの。でめちゃんも、スケート興味ない?」
「ボクは、見たい」
白いスケートリンクの上を、綺麗な服を身につけた選手達が、回りながら踊っています。
「上手に舞ってイルネ」
「でめちゃんも、そう思う?」
「うん」
「氷の上って、寒いのよ。あんな薄着で風邪ひいちゃわないかしら」
「コオリノウエ?」
「氷ってね、すっごく固くて冷たいの。その上を、スケート靴を履いて滑るのよ」
「ヒトも、水の中で舞わナイの?」
「ヒトは・・・なんでもやるわよ。鳥のように空を飛んだり、魚のように泳いだり。憧れが強いのか、なんなのかな。人類の歴史・・・」
「・・・?」
「あはは!なんでもないよ。あ、真央ちゃんが始まるわ」
月の光のメロディーにのせて、浅田真央さんが滑ります。
ジャンプ、スピン、スパイラル、美しいスケーティングで、笑顔を見せる浅田真央さん。
「ボクもあんなふうに、舞うんだ」
でめちゃんは、大きな胸ヒレと尾ひれを揺らしながら、にこにこと、横泳ぎしました。
「でめちゃん、うまいうまい!」
みーちゃんは、拍手をしました。
でめちゃんは、健気にこちらを見ています。
「なんだか、あたし、涙が出そう」
「みーちゃん、どうしたの?」
砂利を突っついていたさらさちゃんも、浮かび上がってきました。
みーちゃんは、思っていました。
(綺麗で優しくて健気なものは、人を癒してくれる。そしてそれは、今日の浅田真央ちゃんかもしれない。
そして、あたしにとっては・・・)
夜空には、月の光が美しく光っていました。
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