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別天地へ行け 27 [乃亜シリーズ♪(混沌的原案)]

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目が覚めると、まだ、嘘のように暗かった。
いつも見慣れている岩石ストリートとは違い、真っ暗ではなかったが、岩石が放つ薄暗い光に囲まれていた。
私はひとりだった。
「だいじょうぶ?」
少年の声が、どこかから聞こえてきた。
「無事だったのね!死んじゃったのかと心配したわ!」
私は、胸の中が暖かくなるのを感じると同時に、お腹が鳴る音を聞いた。
「安心したら、お腹が空いちゃった」
「今、食事を用意しているから。君も、こっちへおいでよ」
「どこにいるの?あなた、どこから話しかけているの?」
「天井に、拡声器があるんだよ。君、疲れて動けないんじゃないかと思っていたけど、平気?」
「ええ・・・」
そうは言ってみたものの、体のそこらじゅうが痛み、悲鳴を上げている。
「立ち上がれないことはないわ」
「君って、強いね」
「私、これからすぐ、元の道へ戻りたいわ。明るくなるのを待っていたのよ。あなたが無事とわかれば、すぐにでも出発してもいいわよね。道を教えてくれる?」
「行っちゃうのかい・・・?わかったよ。君が今いるところは、地獄の大峠のど真ん中だから、僕の言う通りに動かなければ、帰るのは無理だよ。下手に動かないこと。まずは、床をよーく見て。黒い石があるだろう?それは、踏まないで。進んでいくと、1本の柱にいくつもの灯りがついている緑色のキサマがあるから、まずはそこへ向って歩いて。慎重にね」
私は、少年の声を頼りに、進んで行った。
しばらく進むと、緑色植物が、辺り一帯に生えている場所があり、キサマがあった。
「不思議だわ・・・。このキサマは、まるで植物みたい・・・。触った感じも、しっとりと冷たくて、まるで土中から生えてきた巨大な木のようだわ」
キサマは、灯りの柱。地下社会ではどこでもお目にかかるものだが、こんなキサマは初めてだった。
「うん。そいつは生きているんだ。自身の光を体内にためこんで、また放射するんだよ」
「よく知っているわね」
「うん。僕は、何でも知ってるよ。ねえ、そのキサマに手をまわしてごらん」
私は、声の少年の言うとおりに、キサマにそっとしがみついた。
「もうちょっとで、お腹がいっぱいになるよ」
「えっ?全然、お腹がいっぱいになんてならないわよ」
「違うよ。君の栄養が、キサマの・・・栄養になるんだ」
「どういうこと!?」
気がついた時は、遅かった。私の体は、奇妙な膜に密着し、離れられなくなってしまったのだ。
「くっ!?何なのこれは!」
「ごめんよ・・・こうするしかないんだ。、灯りをともすために、人が必要なんだ。灯りがないと、みんな死んじゃうんだ・・・」
「この光る植物のために、ここへ私ををおびきよせたの?最初から殺そうと思って?」
「君は、誰かに追われているようだった。みんなまとめて、地獄の底へ落とす作戦だった。君の追手達は、全員死んだよ。根っこから栄養になりはじめている。ほら、こんなにキサマが光っているだろう?」
「冗談じゃないわ!」
私は、なんとかして離れようとしたが、手を向こう側に回しているので、おもうように動けない。
「どの道、僕は、君の帰り道を知らない。ここで死んだ方が、楽だよ。地下通路は、一度迷ったら、2度と元へ帰ることはできない。僕みたいにね」
「ひきょうだわ、こんな目に合わせるなんて!姿を見せたらどうなの!」


2008-11-21 19:05  nice!(0)  コメント(0) 
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