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ももシリーズ 65 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]


65
明くる朝は、快晴でした。ももは、トーストと牛乳で朝ごはんを済ませ、いつもより、早く家を出たのでした。空気は冷たく、吐く息は、白くなります。ももは、学校へ行く前に、お婆さんの家へ寄ってみようと思っていました。昨日から、様子が心配だったのです。
 すると、家の前には、昨日と同じ白い車が停まっていました。どうやら、お婆さんは、家にいるみたいです。
(お婆さん、誰かがそばにいてくれるなら、安心だよね)
 ももは、ほっとして、歌を歌いながら、学校へ急ぎました。
「おはよう、ももちゃん」
「あおいちゃん、可愛い手袋だね。うさぎが付いてる」
「うさぎの耳付き帽子もあるの。ほらっ」
あおいちゃんが、かぶって見せました。
「超かわいい」
教室の机に腰掛けて、あおいちゃんは、なにやら絶好調なようです。
「ももちゃんも、かぶってみて」
「うん!似合う?」
「いいわ~。ももちゃんも、かぶりもの系の子だね。ねえ、うさぴょん隊つくろうよっ」
「うさぴょん隊?」
ももは、うさぴょん隊って何をするんだろうと思いました。ゆうこちゃんが、教室へ入ってきました。
「あおいちゃん、朝から、元気なのね。ももちゃん、今日、早ーい」
「おはよう!ゆうこちゃん」
「ぉはよ。眠ーい」
ゆうこちゃんが、コートを脱ぎ、白いモヘアのマフラーを首から外しました。
「ゆうこちゃんは、憧れの子女系が、似合うな、うん」
あおいちゃんは、なにやら、考えています。
「おーい、女子。副級長、見なかった?」
松平くんが、教室の隅のほうから、女の子の集団に声をかけました。
「副級長なら、さっき廊下ですれ違ったけど?どこへ行くのかは、聞いていないわ」
と、ゆうこちゃん。
「ん、そう」
「ねえねえ、マツケン。あたしたち今日から、うさぴょん隊つくるの。よろしくねっ!」
「は?」
そこへ、かっちゃんこと吉田勝也くんが声をかけました。
「なんのカッコすんの?村崎あおい!メイド?見たくねぇ~」
あおいちゃんが、かっちゃんに言い返します。
「うっそだぁ!吉田、メイド好きなくせに!マツケンが、言うならわかるけど、ねー」
そこで、ももと松平くんの目が合いました。松平くんは、かすかに笑いました。
「なにそのかっこ?ぷっ。幼稚園のおゆうぎかよ」
ももは、幼稚園ってことはないと思い、腹が立ちました。
「なによ!じゃ、松平くんも、かぶってみれば」
ももは、うさぎの帽子を松平くんにかぶせようとしました。すると、嫌がるかと思いきや、松平くんは、帽子を受け取ってかぶりました。
「おいおい、マツケン萌えしてるぜ」
かっちゃんが、大きな声で騒いで、クラス中をあおります。
「俺、これ、似合う気がする」
松平くんの意外な行動に、クラス中がびっくりしていました。
「そ、それ、あたしの帽子」
あおいちゃんが言うと、松平くんは、
「わりぃ、はい」
と言って、帽子を持ち主に返しました。間もなく予鈴がなり、先生が戸を開けて入ってくると、みんなは、がたがたと席に着きました。ゆうこちゃんがももに言いました。
「あおいちゃんったら、あの帽子、あんなに大事そうにしてるわ」
「うさぎの帽子、可愛かったもんね」
「違うわよ、ももちゃん。マツケンがかぶったからよ」
「なんで、そんなことわかるの?ゆうこちゃん?」
「ももちゃんたら」
ゆうこちゃんは、にっこり笑って、まるでお姉さんみたいな口調で、言いました。
「女のカンよ」


2008-02-01 01:41  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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