みーちゃんの質問 [さらさちゃん♪水想録]
ある日、みーちゃんは、さらさちゃんとでめちゃんに問いかけました。
「ねえねえ、狭いところで並んで泳ぐのと、広いところで、すいすい泳ぐのとでは、どっちがいい?」
「ンン?」
「金魚になったつもりで、一緒に泳いだ感じを想像してみるんだけどね、イマイチうまくいかないの」
みーちゃんは、自分が金魚になったつもりで考えれば、金魚たちのことを理解できるような気がしていたので、しばしば想像していました。
「でも、想像にも限界があるわ。そもそも私、水の中では、息ができなくて苦しくなっちゃうのだもの」
すると、でめちゃんが言いました。
「無理しないでみーちゃん」
「無理してるかな?」
「ぼくたちに、なんでも聞いて」
「そうね。でめちゃんやさらさちゃんとおしゃべりができてよかった!心配なのは、さらさちゃんもでめちゃんも、成長してどんどん大きくなってきてるでしょ? 小さな水槽だと狭いんじゃないかと思って」
そこで、さらさちゃんも、会話の仲間に入りました。
「ねえ、さらさちゃんはどう? 広いところで泳いでみたいなって、思ったことない?」
「考えたことナイ」
「そう」
みーちゃんは、自分に置き換えて想像してみました。たとえば、自分のアパートよりも、ずっとずっと広い宮殿のようなところに住んでみるのは・・・? はたまた、美しい大地に立ってどこまでも続く空を見上げている気持ちはどんなだろうか・・・?
そうやって考えていると、広々とした空間は、開放感いっぱいで気分がいいんじゃないかと思うのです。
すると、さらさちゃんが、目を一瞬ぱちくりさせて、みーちゃんに言いました。
「セマイほうがイイ!」
「本当? どうして?」
「だって、ゴハンが一直線につながって、食べやすいデショ!」
「えっ、そういうこと?」
その時、でめちゃんが、すっと上へ浮かび、ごはんをとる真似をしました。そのでめちゃんの後ろを、さらさちゃんが追いかけながら、同じようにごはんをとる体勢をとり、追い越していくのでした。
そんな金魚たちを見たみーちゃんは、ふと、やっぱり水槽は狭い方がいいかもしれないと思いました。どの道、ごはんの時間は争奪戦。広ければ広いほど、泳ぎの早いさらさちゃんが有利になってしまいます。食べる量に応じた体格差が、すでにふたりの間にはあるのです。
「でめちゃんには、下に落ちるごはんがあるから、だいじょうぶよ。ゆっくり食べて」
「うん、ありがと」
みーちゃんは、すこし心配し過ぎかもしれないけれど、金魚と一緒に暮らしていくのには、それくらいの感覚がちょうどよいと、あらためて思いました。
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