SSブログ
myoko.jpg  ←~生命地域~妙高高原♪

one road~深い穴の淵から [詩と文学♪]

8980056.gif
「僕は今、大きくて深い穴の淵を歩いている。暗い穴の底をのぞくと落ちてしまいそうだから、なるべく見ないようにしているよ」

「気をつけて。穴を見ないで歩いていては、足を踏み外してしまうじゃないか」

「他に道はないんだ」

「それならば、怖がって、穴を見ないのではなくて、きちんと穴を見たまえ。穴を怖がってしまう己の心の弱さを見つめ、克服したまえ」

「そうだね。だが、そうとばかりも言えない。穴の中には、僕の心以上に、無視できないものがある・・・それは、暗い穴の底から伸びてくる手なんだ。暗い穴の中に、誰かがいて、僕を呼んでいるんだ」

「暗い穴の底から伸びてくる手とは、一体、誰の手なんだ?」

「悪意がある人か、あるいは、苦しんでいる人の手か・・・それは判別できない」

「穴の中はどうなっているんだ?」

「わからない。でも、きっと、今の僕では、その手を引っ張り上げることはできない。穴のふちから、元気づける余裕もない。だからその手を無視している。存在を感じ、見つめてしまったら最期、一緒に穴の中で苦しむことになりそうな気がして、恐ろしいのかもしれない」

「穴の中にいる誰かは、ずっと底にいたいのか?上に上がりたいのか?」

「わからない。ただ、存在を感じると、胸が苦しくなるんだ」

「それは一人で抱えることができない問題だ。大きくて深い穴を見渡すのも、分担してやれば怖くない。一人より二人、仲間と手を取り合って歩むほうがいい。だがもし、それが許されない状況だと言うのなら・・・」

「わかった」

「気がついたかい」

「勇気を持って進んでいけばいい」

「You can do it! やればできるさ。勇気はいつだって君のそばにあるんだ!」
8991206.gif


2011-04-25 01:52  nice!(12)  コメント(0) 

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 
一文字違いです^^はね馬(haneuma) ブログトップ
短篇小説 W   別天地へ行け

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。