ももシリーズ 55 [照山小6年3組 ももシリーズ♪]
55
ももが、無事に自室の部屋へたどり着いた時、時刻は午前6時30分でした。
せっかくの日曜日なので、ももはパジャマに着替えて、もう一眠りすることにしました。
朝からひとりで、公園まで出かけてきたことが、今になってひどく怖いことだったように思えてなりません。
できることなら、なかったことにして眠ってしまいたい。
居間では、おにいちゃんとお父さんが、話をしていました。
もものおにいちゃんは、光という名前です。高校2年生です。
「お早う、光。早いな」
「おはよっす」
「朝、玄関の鍵が開いていたんだが、ももは、部屋にいるか?」
おにいちゃんは、この時、ほんのちょっとの時間、惑いました。
「ああ、いるよ。もう起きてた」
「そうか」
「昨日、鍵かけわすれて寝たんじゃない?」
「そうなら物騒だな、気をつけないとな」
「俺も寝る前に、よく確認しとく」
じつは、お父さんは、朝、ももが出かけてすぐに、新聞を取るために起きており、その時に玄関の鍵がかかっていなかったので、おかしいと思ったのでした。
居間の時計が、午前8時をさしました。すでに、朝ごはんの用意はできています。
ももだけが、まだ起きてきません。お母さんは、やきもきした声でおにいちゃんに頼みました。
「光、ももを起こしてきてくれる?」
「へい」
おにいちゃんは、ももの部屋のドアをノックしました。中から、寝言のような声が聞こえます。
「・・・うう」
「おーい、もも。朝だぞ」
「起きてるよぉ」
「朝飯が逃げるぞ~。降りて来い」
「眠い・・・」
朝の苦手なももは、なかなか目が覚めません。おにいちゃんが言いました。
「もも、お父さんが心配してたぞ。さっき、ひとりでどこかへ出かけてたんだろう?何か、悪い仲間に脅されたりしてるのか?怒んないから、にいちゃんに言ってみろ。お父さんに、隠し事や嘘は、禁物だぞ」
ももは、がばっと布団をめくって飛び起きました。
お父さんが、本気で怒った時の怖さを、思い出したのです。それは、お母さんのヒステリーとはまた別の、雷を落とされてびくっとくるような怖さなのです。
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