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銀河鉄道の夜 読解⑤  [銀河鉄道の夜を読み解く☆]

第五章 天気輪の柱 

ジョバンニは、黒いたいらな丘の頂上へ来ました。
夜空に天の川が見えました。
頂上にある天気輪の柱の下で、寝転がっているうちに、かなしくなって、夜空を見上げました。

<この章について>
一口に言うと、現実と夢の境目です。
見慣れない言葉 「天気輪の柱」 とは?
本の解説を読むと、「お天気が一目でわかる塔柱」ではないかとのことです。
宮沢賢治氏は、農民のために気象変化について関心があったために、このような言葉を創作したのだと考えられています。
天気輪のある丘の頂上は、ひと気のないところです。
聞こえるのは、子供らの歌う声や口笛、汽車の音、鳥の声、風のうなり・・・。
遠くを走る列車の窓が小さく見えたとき、ジョバンニは、楽しそうな旅人達の姿を想像し、悲しくなってしまいます。
野原に仰向けになって、天の川を眺めていると、銀河がとても近しい感じがします。
丘の上、天気輪の柱、夜の空、ジョバンニの想いを軸にして、
いつのまにか、現実から夢の世界へ読者を引き込んでいきます。
この章の終わりは、ジョバンニが、星を眺めているところで終わります。
眠る直前のような感覚で、次の章を待ちます。

<感想>
ここまで、ずっとこのお話のことを考えていたら、寂しく悲しい気持ちになってしまいました。
ジョバンニが、星に憧れを持つのがわかる気がしました。
親友に裏切られるのは、辛いものです。
はっきりと、わかるなら、まだ良いかもしれません。
知らないうちに、仲間はずれになっていたり、避けられたり、自分だけが彼を親友だと思っていたのだと気づいたとき、胸の傷はじくじくと深くなるんですよ。
幸いジョバンニは、悪気のない冷やかしを受けていますけれど、本人がしっかりしているので、救いがあります。
辛くてどうしようもないときに、星の輝きを眺めると、気持ちがまぎれるのはどうしてなのかな、不思議。

ジョバンニは、星を眺めているうちに、夢の中で銀河を旅することになるんですよね。
その夢の導入部にあたるこの章には、ほんとうは、
『夢から覚めて現実に戻るシーンまるまる5ページほどが、挟んであった』のですって。
でもそうすると、話のつじつまが、微妙にずれます。
宮沢賢治氏自身、話の結末をどこでつけるか、決めかねていたようです。
うわっ!完成していない作品だったんですね!

読解ができるかどうか、心配になってきました(:_;)
ただ思ったことは、今述べるのは、早いんですけど、
結末の5ページというのは、『夢から覚めて、カムパネルラが川に落ちた後のシーン』なんですね。
今、そのシーンが入る場合は、“先にカムパネルラが死んでしまったことがわかってから、夢の旅にでる”ことになります。
夢の後に入れるか、前にするか。
ページを先へいったり戻ったりして、試し読みしてみました。

夢の前に入れる場合は、
「死へ旅立ったカムパネルラを銀河の果てへ見送ることができ、悲しみが癒される感じ」があります。

逆に、夢の後では、
「2人で長い旅の途上で語らった直後の死で、強い喪失感を感じる」 気がしました。

未定稿の作品を、編集して、世に送り出すことがあるのは知っていましたが、
この有名な作品がそうだったとは、わたしの無知でした。
宮沢賢治氏が、発表を決意するまでにいたらなかった作品を、見せてもらっていいんでしょうか。
作者の意図に反したりしないのかなぁ?
なんて、ちょっと思いました。
愛読してるくせにっ!矛盾です。


2007-09-14 16:23  nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

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